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台湾有事とは?日本に与える影響や今後の対策

「一つの中国」を実現するため、台湾への対抗姿勢を強める中国。
近年では、中国による軍事的な圧力が目立ち、日本政府も具体的なシナリオを想定するまでに至っています。
台湾有事が発生した場合、日本を含めた世界各国に影響が出ると考えられているため、決して他人事ではありません。
この記事では、「台湾有事と企業が今すべき備え」について詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.台湾有事とは
  2. 2.日本にとっての台湾有事
  3. 3.台湾有事への対策
  4. 4.まとめ
  5. 5.台湾有事と企業が今すべき備え


台湾有事とは

台湾有事とは、中国が台湾に軍事侵攻することを想定したシナリオです。
中国は台湾を不可分の領土(国内の一部)と主張しており、これまで何度も台湾に軍事的な圧力をかけてきました。

近年では、アメリカのペロシ下院議員が台湾を訪問したことに反発し、台湾を包囲する形で6か所の海空域で大規模な軍事演習を実施しました。
中国と対立するアメリカは台湾と友好的な関係を築いており、バイデン大統領は台湾有事の際は軍事的な関与をすると発言しています。

また、中国の習近平国家主席は、「武力行使を放棄しない」「あらゆる必要な措置をとる」「台湾統一は必ず実現しなければならない」と明言していることから、台湾有事が発生する可能性が高いと指摘する声も少なくありません。

一方で、近い将来に限れば中国が台湾へ侵攻する可能性は低いとの見解を示す声もあります。とはいえ、中国が軍備の強化を図っていることから、今後も油断できない状況が続くでしょう。
台湾には半導体関連の企業が多く集まっているため、万が一台湾有事が発生して周辺海域が中国軍によって封鎖された場合は、サプライチェーンの寸断が予想されます。
台湾有事は、日本を含めた世界経済に大きな影響を与えることは間違いありません。


日本にとっての台湾有事

台湾には多くの日本企業が進出しており、従業員とその家族を含め2万人以上が台湾国内で生活しているといわれています。

台湾有事の際は、いかに日本人の安全および避難経路を確保するかが課題であり、企業や日本政府による迅速な対応が不可欠です。
現地の企業および日本人への影響はもちろんですが、台湾有事は物流への影響も大きいと考えられています。

台湾には半導体関連の企業が集まっており、日本を含めた世界各国に部品を輸出しています。
台湾有事が発生した場合は、中国が制空権および制海権を握ってくることが予想されるため、これまで日本に輸出されていた物品が届かなくなる可能性が高いです。

また、日本と中東をつなぐシーレーン(海上交通路)にも影響がでる恐れがあります。
日本のシーレーンは、アラビア海やインド洋から始まり、台湾南部のバシー海峡を通って日本へとつながります。

このシーレーンは、民間商船や石油タンカーが通る重要なルートであり、台湾有事が発生した場合は貿易や流通に影響を及ぼすことは間違いありません。
さらに、日本はアメリカと軍事同盟を結んでいるため、有事の際は米軍の支援に自衛隊を回さなければいけない可能性があります。

この場合、日中関係の悪化を招く恐れがあると同時に、中国による経済制裁を誘発することが懸念されます。
部品や資材の調達を中国企業に頼っている日本企業は、大きな影響を受けるでしょう。


台湾有事への対策

台湾有事に備えて日本企業が検討しなければいけないのは、現地にいる従業員およびその家族の安全を守るための危機管理対策です。

命を守ることが最優先事項であり、退避経路の確保はもちろん、従業員とその家族をどのタイミングで帰国させるかを見極める必要があります。
また、有事の際は退避経路が十分に確保できないことも想定されるため、台湾各地の防空壕を事前に把握しておくことも大切です。

また台湾は海に囲まれているため、日本や第三国への退避の難易度は極めて高く、有事が発生すれば退避タイミングを探る余裕はありません。そこで、有事が発生しても慌てることなく、日本本社と現地法人とが連携し、それぞれの役割に従って行動するためには、「海外危機管理マニュアル」や「退避計画書」の事前準備が重要になってきます。


まとめ

この記事では、台湾有事について以下の内容で解説しました。

  • 台湾有事とは
  • 日本にとっての台湾有事
  • 台湾有事への対策

台湾有事の発生は現実的にありえないという声も少なくありませんが、可能性はゼロではありません。
台湾には多くの日本企業が進出しており、現地には2万人以上の日本人が生活しているといわれています。
有事の際は、安全と退避経路の確保が課題であり、物流の停滞も予想されるため、早めの対策が大切です。

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台湾有事と企業が今すべき備え