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2025.10.30

海外渡航者の安否確認体制の確立と安否確認ツールの活用

目次

1.なぜ安否確認体制が必要なのか?

2.安否確認体制の構築ステップ(現状把握とリスク分析、安否確認ポリシーの策定)

3.安否確認体制の構築ステップ(安否確認ツールの選定・導入、連絡網・情報更新体制の整備、訓練・教育の実施)

4.安否確認体制の構築ステップ(BCPとの連携、改善とレビュー)

5.まとめ

はじめに

日本企業は、米国、インドのような大国をはじめ、タイやベトナム、フィリピンやインドネシアなど、消費財や人件費のコスト削減のためや、発展著しいこれらの国の国内市場をターゲットに進出を加速しており、企業が海外に社員を派遣する機会はますます増えています。海外出張や駐在、現地法人での勤務など、企業活動の国際展開に伴い、社員の安全確保は重要な経営課題となっています。特に、自然災害、テロ、感染症、政情不安などのリスクが高まる中で、海外派遣者の安否確認体制の整備は、企業の危機管理において不可欠です。

今回は安否確認ツールの事例を交えながら、企業が取るべき具体的な対応策について解説します。

1.なぜ安否確認体制が必要なのか?

企業の「安全配慮義務」

企業は社員の安全を守る責任を負っています。これは日本国内に限らず、海外勤務者にも同様に適用されます。災害や事故が発生した際に迅速かつ的確に安否を確認し、必要な支援を行うことは、企業の社会的責任(CSR:Corporate SocialResponsibility)であり、法的義務でもあります。社員の安全を守る体制を整えることは、企業の信頼性やブランド価値向上にもつながります。

BCP(事業継続計画)の中核

安否確認は、BCPの初動対応において最も重要な要素の一つです。社員の安否が不明なままでは、業務再開の判断もできず、事業の継続に大きな支障をきたします。特に海外拠点では、現地の通信インフラや言語の壁など、確認作業が困難になるケースも多いため、事前の体制整備が不可欠です。

2.安否確認体制の構築ステップ

Step 1:現状把握とリスク分析

①海外拠点駐在者と帯同家族・出張者の人数、滞在地域、滞在期間を正確に把握することが先ず必要です。大手・中堅企業の場合、出張手配システムを導入しているケースが多いと思われます。その場合、出張者名や旅程、航空券や宿泊場所の情報が登録されます。しかし、業務状況により滞在期間が伸びたり、他の都市や国に移動し予定のルートが変更になるケースもよくあることです。渡航情報は、常に最新の内容に登録を更新する必要があります。

②地域ごとのリスク(自然災害、治安、医療体制など)を分析することが重要です。

海外進出先や出張先の国・地域や都市のリスク情報を事前に入手・分析し、派遣先で想定されるポテンシャル・リスクを把握することが必要です。

こうした情報収集と分析のノウハウがない、或いは、手間が掛けられないケースがあると思われます。また、本社のリスク管理担当者が、世界各地の派遣先のリスク情報を逐次チェックすることは困難ですので、セキュリティ専門家による24時間365日体制の分析やリスク情報配信ツールを利用することを活用すると非常に便利です。

JTBグローバルアシスタンスが提供する海外リスク情報リアルタイム配信システム「アラート☆スター」は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用してその他既存の出張手配・管理システムと自動連携する場合、オプションで安否確認メール送信機能を持たせることが可能です。

Step 2:安否確認ポリシーの策定

どのような事象が発生した際に安否確認を行うか(例:震度5以上の地震、テロ発生など)、対象者の範囲(社員、家族、協力会社など)をどうするかなど、自社の方針を決めておく必要があります。

企業の海外派遣に関わるリスクは、「健康・医療」「安全・治安」「政治・制度・地政学」「法務・コンプライアンス」「自然災害・環境」「交通・物流」「通信・ITインフラ」「文化・コミュニケーション」「人材・労務」などに分類することが出来ます。これらのリスクに対して、最新情報を元に状況を評価し、危険度に応じた(情報レベル、警告レベル、緊急レベルなど)対応を想定し、派遣者や現地拠点長、日本のリスク管理者に対して、何をトリガーとして安否確認を行うかなどをあらかじめ決めておく必要があります。

3.安否確認体制の構築ステップ

Step 1:安否確認ツールの選定・導入

従来、電話や個別メールなど、人海戦術・交代制で行っていた安否確認を、専用アプリやブラウザー(Microsoft EdgeやGoogle Chrome)を用いてデジタル化・部分的に自動化すると非常に便利です。

また、このような利便性だけではなく、ツールの選定に際しては下記の点を確認すると良いでしょう。

・情報の信頼性(情報源や専門家による分析)

・リアルタイム性(同じリスク事象でも刻々と状況が変化します)

・地域カバー範囲

・通知方法(メールやSMS、PUSH型など)

・位置情報連携(マップでリスク発生場所、影響範囲などを表示)

・多言語対応

・24時間365日サービス

・拡張性(対象人数や海外拠点数が増えた際など)

・履歴管理とレポート出力

「アラート☆スター」は、専門のアプリを都度スマホなどの端末にインストールする必要とせず、ブラウザーを用いています。

契約後、最短で1か月ほどで導入が可能です。

Step 2:連絡網・情報更新体制の整備

拠点ごとの連絡責任者を明確化にし、連絡ルートを設定して、本社間及び現地拠点内の連絡網・体制表を整備しましょう。海外派遣者や帯同家族の場合、日本国内緊急連絡先(日本在留家族や親族など)も設定すると尚良いでしょう。現地の緊急事態時に、気心のしれた現地スタッフからサポートを受けられるかどうかは、生死を分ける非常に重要なポイントとなります。

一度登録した滞在先情報に変更がある場合は随時、緊急連絡先や家族連絡先などは定期的に確認し、必要に応じて更新しましょう。

Step 3:訓練・教育の実施

海外派遣前に安全の手引きを配布する、ツールの操作マニュアルを配布する、説明会を実施するなど、社員への教育(安否確認の重要性、操作方法など)を徹底しましょう。また、本社と海外拠点駐在者及び現地スタッフ、海外出張者を含め定期的な安否確認訓練(年1〜2回)を実施しましょう。

4.安否確認体制の構築ステップ

Step 1:BCPとの連携

緊急事態が発生してしまった場合、派遣者や現地スタッフの安全確保とスムーズな復旧のためにも、安否確認や状況報告結果をもとに、事業継続計画(BCP)を発動する必要があります。スピーディーな情報の集約は、拠点の一時閉鎖、出張者や駐在者の一時待機、緊急出国などの判断材料としても重要です。初動対応を素早く実行することで、被害の拡大を最小化することが出来ます。

緊急時にリアルタイムな情報入手、関係者間の連絡・安否確認ができるよう、通信が途絶したケースも想定したBCPの策定が必要です。

Step 2:改善とレビュー

実際の事例(自社内事例だけでなく、他社・報道の事例なども含む)や訓練結果をもとに、体制・連絡網の見直し、対応の見直し、ツールのアップデートなどを実施して、実効性を維持・向上して行きましょう。

5.まとめ

海外派遣者の安否確認体制は、企業の危機管理において極めて重要な要素です。派遣者情報の一元管理、安否確認ツールの導入、訓練と運用ルールの整備を通じて、迅速かつ確実な対応が可能になります。

ツールを活用する一方で、在外公館、現地コミュニティー、専門機関との連携によって、企業はより強固な安全管理体制を構築することができます。

グローバルに展開する企業こそ、社員やその家族の安全を守るための体制整備を怠らず、常に最新の技術と情報を取り入れていくことが求められています。

グローバルに展開する企業にとって、社員やその家族の安全を守るための体制整備は、まさに経営の最重要課題であり、津念い最新の技術と情報を取り入れていく事が求められている。このようなニーズにこたえ、貴社の強固な安全管理体制の構築を強力にさおいーとするため、JTBグローバルアシスタンスでは「初めての海外安全対策を手軽に始められる危機管理」サービスを提供しています。


出典

                                                         1:外務省/外交政策/「海外進出日系企業拠点数調査2024年調査結果(令和6年10月1日現在)」より引用                                                                                                                                                                https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_003410.html

                                                                                         2:在ベトナム日本大使館などの公式情報や各社メディア情報より引用・まとめ                                                                                                                                                                                                                https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02015.html

                                                                                             3:在フィリピン日本大使館情報及ぼ各社メディア情報より引用・まとめ                                                                                                                                                                                                                            https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01975.html

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弊社では、「初めての海外安全対策を手軽に始められる危機管理」サービスを提供しています。多種多様な業種の企業さま・大学など派遣元のリスク管理責任者や海外派遣者のニーズにお応えし、安全・安心をサポートさせて頂いています。

長年の実績をもつ自社開発の海外危機管理システム「アラート☆スター」を通じ、常に改善を繰り返しながら時勢の変化に対応しています。

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